
はじめに:男性不妊という言葉が、つらく感じるあなたへ
こんにちは。鍼灸院ひなたの山元大樹です。
「妊活」という言葉の中で、
どこか「女性側の課題」と思われがちな男性不妊。
でも、最近では明確にわかってきています。
不妊の原因の約半数は男性側にもあるということ。
そしてそのとき、
「どうすればいいか分からない」
「パートナーに申し訳ない」
そんな想いを抱えて、
自分を責めてしまう男性が少なくありません。
この記事は、そんなあなたへ向けて書いています。
ひなたができること、そして鍼灸という選択肢の可能性を、
少しだけ覗いてみてください。
精子の質=体のコンディションそのものです
精子の状態は、あなたの“体の中の環境”を映し出しています。
- 睡眠は足りていますか?
- 食事は偏っていませんか?
- ストレスが積もっていませんか?
- 運動不足、冷え、過労、薬の影響…
実は、精子はとても繊細な存在。
たった一回の強いストレスや、生活習慣の乱れでも、
その質や運動力に変化が出てしまうことがあります。
だからこそ、体全体を整え直す。
そのうえで、“授かる力”を底から育て直す。
鍼灸には、その手伝いができる力があります。
生存の本能を満たすこと(リラックスや疲労がない状態)によって種の保存の本能に従い、生殖力を上がっていきます。
論文でも示されている鍼灸の可能性
鍼灸による男性不妊への効果については、近年いくつかの臨床研究が発表されています。
🔬 症例1:精子の運動率と形態の改善
Pei J, et al. (2005) の研究では、乏精子症や無精子症の男性28名に対し、
週2回、5週間の鍼灸施術を行ったところ、
- 精子の運動率
- 正常形態率(=精子の形が正常である割合)
がともに有意に改善されたと報告されました。
これは、精巣周囲の血流促進と、自律神経系のバランス改善が影響した可能性があると考察されています。
🔬 症例2:ホルモンバランスと精子密度の向上
Siterman S, et al. (2000) の研究では、極端な乏精子症の患者20名を対象に、
週2回、2ヶ月間の鍼灸施術を実施。
その結果、
- FSH・LH・テストステロンなどのホルモン指標が正常化
- 精子密度が約2倍に増加
さらに、一部の患者では自然妊娠も成立したとの報告がありました。
鍼灸だからこそできること ― 体の「内側」から整える
私たちのアプローチは、
単に「精子を良くする」のではなく、
**「精子が自然と育つ体に整えること」**です。
具体的には:
- 骨盤内・鼠径部の血流改善 → 精巣や前立腺への栄養供給を促進
- 自律神経バランスの調整 → ストレスホルモン(コルチゾール)の抑制
- 睡眠と消化力の回復 → 内分泌の安定化
- 肝・腎・脾(東洋医学的に生殖力と関係)へのアプローチ
頻度の目安
- 週1回ペースで3~4ヶ月継続
- ホルモン変動と精子形成周期(約70日)を見越してサポートします
当院が大切にしていること
- 「こうしなければダメ」とは言いません
- 施術を通じて、自信を取り戻していくことを何より大切にします
- 妊娠=ゴールではなく、**「希望を持てる日常」**を一緒に歩きます
最後に:あなたの努力が報われる日を、私たちは信じています
妊娠は奇跡ではなく、準備の積み重ねです。
体を整え、心を軽くし、
「自分にはまだ可能性がある」と思えること。
そのための鍼灸であり、
そのための「ひなた」です。
どうかあなたが、
“結果だけに追われる妊活”ではなく、
“体と心の再出発”としての妊活に出会えますように。
【参考文献】
- Pei J, et al. Effect of acupuncture on sperm parameters in idiopathic male infertility. Fertil Steril. 2005.
- Siterman S, et al. Does acupuncture affect sperm density in males with very low sperm count? Andrologia. 2000.