
こんにちは。鍼灸院ひなたの寺嶋です。
フランス人が大切にする『美しいものに触れ、自分の五感を喜ばせること』は、東洋医学でいう『気の巡り』を良くすることそのものです。 自律神経が乱れている時は、思考(脳)が働きすぎて、感覚(体)が置き去りになっています。 フランス人のように自分を愛でる習慣を持つことは、鍼灸で体からアプローチするのと同様に、心の緊張を解くための大切なセルフケアなのです。
今回はそんなフランス流の心の整え方をお伝えしたいと思います。
1. 美的感覚: 「完璧」よりも「自分らしさ」
フランス人の美意識を一言で表すと、「個性の表現」です。流行を追うことよりも、自分の欠点さえも魅力(チャームポイント)として捉える姿勢が尊重されます。
「ありのまま」の美学: フランスでは、厚化粧で隠すよりも、素肌の質感を活かしたり、シワを「人生の証」として愛でたりする傾向があります。「年を重ねるほど美しくなる」という考え方が浸透しており、熟年層の女性が非常に魅力的に描かれます。
日常をアートにする: 特別な日だけでなく、日々の食卓に花を飾る、お気に入りのカフェでゆっくり時間を過ごすといった「何気ない瞬間を美しく彩る工夫」を大切にします。これが彼らの言う「暮らしの芸術」です。
2. なぜ「愛」を大切にするのか?
フランスにおいて「愛」は、単なる感情ではなく、「人間としての尊厳や知性の証明」に近いものとして扱われます。
歴史的背景(宮廷愛): 中世フランスで生まれた「アムール・クルトワ(宮廷愛)」の伝統が、現代にも息づいています。これは騎士が貴婦人に尽くす高潔な愛の形であり、ここから「愛を語ること」「相手を褒めること」をエレガントなマナーとする文化が育まれました。
「セドゥクシオン(誘惑)」という社交: フランスでは、恋愛関係に限らず、会話の中で相手を魅了し、心地よい緊張感を楽しむ「セドゥクシオン」がコミュニケーションの潤滑油となっています。相手を尊重し、自分を魅力的に見せようとする努力そのものが、豊かな人間関係を築くと考えられています。
3. なぜ「美と愛」が人生の優先事項なの?
彼らがこれらを大切にする最大の理由は、「人生の喜び(Joie de Vivre)」こそが生きる目的だと信じているからです。
⬛︎ 理性への反抗(ロマン主義)
18〜19世紀のフランスでは、科学や論理を重んじる「啓蒙主義」への反発として、感情や情熱を肯定する「ロマン主義」が花開きました。これが「理屈よりも、心がどう感じるか」を優先する国民性の土台となりました。
⬛︎「世俗的」であることの誇り
フランスは歴史的にカトリックの国でしたが、同時に強い世俗主義(ライシテ)の国でもあります。来世の幸せを待つのではなく、「今、この瞬間の地上での喜び(美味しい食事、美しい景色、愛する人との会話)」を最大限に享受することが、人間らしい生き方だと考えています。
⬛︎教育と議論の文化
フランスの学校教育では哲学が重視されます。「自分にとって美とは何か?」「愛とは何か?」を幼い頃から考え、言葉にする訓練を受けているため、彼らにとって美や愛は「なんとなく」のものではなく、自らの意思で選ぶ「価値観」なのです。
4.真似したい習慣
・完璧」を捨て、「チャームポイント」を探す
フランスの女性は、少し曲がった鼻や、すきっ歯を矯正せずに「これが私の個性よ」と堂々と見せることがあります。鏡を見て欠点を探すのではなく、「自分にしかない特徴」をどう活かすかを考えます。例えば、「目が小さいなら、アイラインでミステリアスな印象にしよう」といったポジティブな工夫です。
・「制服」を持つ(トレンドに振り回されない)
今流行っているから」ではなく、「10年後の自分もこれを愛しているか?」を基準に選びます。自分に似合う形や色を知り、それを「自分のスタイル(制服)」として固定することで、流行に流されない「自分らしさ」という自信を手に入れます。
・「何もしない時間」を美しく過ごす(フランヌリー)
効率を重視する現代では「無駄」に見える時間こそ、彼らは大切にします。ひとりでカフェに座り、通り過ぎる人々を眺めながら思考に耽る。 常に何かに追われるのではなく、「自分の内面と対話する時間」を持つことが、心の余裕を生み、それが外見の気品(エレガンス)に繋がると信じられています。
・食卓は「情報を食べる」場所ではない
フランス人にとっての食事は、栄養補給でも情報のアップデート(スマホを見ながら等)でもありません。美味しいものを「美味しい」と言葉にして味わい尽くすこと。この「五感をフルに使う姿勢」が、感性を研ぎ澄ませます。フランスのディナーは3時間以上続くこともザラです。そこで何をしているかというと、ひたすら「議論」と「お喋り」です。キャンドルを灯し、美しい食器を使い、「今のこの味がどれほど素晴らしいか」「最近読んだ本はどうだったか」を言葉にして共有します。美味しいものを「美味しい」と言葉にして味わい尽くすこと。この「五感をフルに使う姿勢」が、感性を研ぎ澄ませます。
・どんな時も「マダム/ムッシュ」であること
家の中でも、ボロボロの部屋着で過ごすことはあまりありません。誰のためでもなく、「自分の尊厳のため」に身なりを整えます。「自分を丁寧に扱うこと」が、周囲からも大切に扱われることに繋がると知っています。これがフランス流の「セドゥクシオン(人を魅了する技術)」の基本です。近くのパン屋にバゲットを買いに行くだけでも、お気に入りの香水をひと吹きする。
5.まとめ:彼らにとっての「美と愛」
フランス人にとって美や愛を大切にすることは、「私は自分の人生の主役である」と宣言することに他なりません。効率や生産性だけを求めるのではなく、あえて「無駄」に見える美しいものに時間を割くことで、心の豊かさを保っているのです。
最近、私自身がオフラインラブやエミリーパリへ行くにいくというネットフリックスのコンテンツにハマっており、フランスやフランスの文化をもっと知りたいという自分の興味と何かそこから生きるヒントがあるかもと今回の記事を書いてみました。少し視点を変えてみたのですがいかがだったでしょうか?
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。Merci du fond du cœur!

