はじめに:現代人の腸の不調と心の関係

近年、「なんとなくお腹の調子が悪い」「食後に膨らむ感じがする」といった訴えが増えています。 腸活やサプリメント、発酵食品を取り入れても思うような改善が見られない――そんなケースの背景にあるかもしれないのが、SIBO(小腸内細菌異常増殖症)という状態です。 そして、心と腸が深くつながっていることが科学的にも明らかになってきた今、東洋医学や鍼灸というアプローチがあらためて注目されています。

SIBOとは何か?

SIBO(Small Intestinal Bacterial Overgrowth)は、本来なら腸の奥で存在するはずの細菌が小腸内で過剰に増えてしまう状態を指します。 この結果、消化吸収が妨げられ、

  • ガスがたまりやすい(腹部膨満感)
  • 下痢や便秘を繰り返す
  • 栄養が取りにくくなる
  • 慢性疲労や集中力低下が起きる といった症状が起こります。 SIBOは、過敏性腸症候群(IBS)やリーキーガットとの関連も示唆されており、近年注目されている消化器の疾患です。

腸脳相関:腸と心の密接なつながり

「第二の脳」とも呼ばれる腸。 実は腸には1億個以上の神経細胞が存在し、脳とは独立して情報処理をする力を持っています。

脳と腸は迷走神経を通じて双方向に情報をやりとりしており、これを「腸脳相関」と呼びます。 そのため、

  • ストレスが続くと腸の動きが鈍くなり、ガスが溜まりやすくなる
  • 腸内環境が乱れると、不安や抑うつが出てくる という相互作用が起きるのです。

SIBOの背景には、この腸脳相関の乱れ、すなわちストレス過多や自律神経のアンバランスが大きく関わっていると考えられます。

東洋医学の視点:五志・五情と五臓の関係

東洋医学では、「心・肝・脾・肺・腎」という五臓があり、それぞれに「五志」と呼ばれる感情が対応しています。

五臓五志(五情)主な作用感情の偏りが与える影響
気の巡り怒りすぎると気が上がり、腹部の張りに影響
血の巡り興奮しすぎると不眠・動悸に影響
消化吸収思い悩みすぎると食欲不振、腹部不快感につながる
憂・悲呼吸と水分代謝憂うと呼吸が浅くなり、気虚に傾く
生命力・ホルモン恐れが強いと冷えや元気のなさに直結

とくに「脾=消化器系」にあたる臓は、「思(過剰な思考や悩み)」の影響を強く受けるとされます。 現代人に多い“考えすぎ”“頑張りすぎ”は、まさに脾を弱らせ、SIBOのような腸内環境の乱れに関係してくるのです。

鍼灸によるアプローチ

SIBOに対して鍼灸ができることとして、

  • 自律神経を整える(副交感神経を優位にする)
  • 胃腸の蠕動運動を促す
  • 感情の高ぶりを鎮め、情緒を安定させる
  • 腸の血流やリンパの流れを促す といったことが挙げられます。

鍼灸×現代医学の併用という考え方

SIBOに対しては、抗菌薬や食事療法(低FODMAP食など)といった西洋医学的なアプローチも重要です。 しかし、治療効果をより高めるためには、心身のバランスを整える東洋医学的なケアとの組み合わせが有効です。

腸だけを見るのではなく、「その人の生活」や「感情の傾向」「思考のクセ」にまで目を向けていく。 それが、私たち鍼灸師にできる本質的なサポートなのではないかと思います。

まとめ:腸と心の調和を取り戻すために

SIBOという疾患は、単に腸内細菌の問題ではなく、心と体のつながりの乱れが背景にある可能性があります。

鍼灸というアプローチは、腸内環境の回復を後押しするだけでなく、 その人の感情や生活スタイルを見つめ直す“きっかけ”にもなり得ます。

腸と心をつなぎ直し、本来の健やかな状態へと導く。 そんな東洋医学の力を、あなたの腸活にも取り入れてみてはいかがでしょうか。

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