こんにちは。鍼灸院ひなたの山元大樹です。

「毎月のことだから仕方ない」
「これが私の“普通”だから」
「みんな我慢してるんだから、自分だけ弱音を吐いてはいけない」

そんなふうに、つらさを抱えたまま日常を過ごしている方が、あなたのまわりにも、そしてあなた自身にもいるかもしれません。

今回は、月経痛の奥に隠れている「子宮内膜症」という病気と、それに対して鍼灸がどのように関われるのかについてお話ししたいと思います。


■ 子宮内膜症とは?

子宮内膜症は、子宮の内側にある「内膜組織」に似た細胞が、本来あるべきでない場所(卵巣・骨盤内など)にできてしまい、月経のたびに炎症や癒着を起こす病気です。

よくある症状は──

  • 月経痛(下腹部・腰・仙骨部)
  • 性交時の痛み
  • 排便や排尿の際の痛み
  • 不妊症

見逃されやすいのは、「痛み止めを飲んでしのげる範囲」で過ごしてしまうこと。
でも、それが“当たり前”になってしまう前に、身体のサインに気づくことが大切です。


■ 鍼灸でできる3つのアプローチ

鍼灸では、以下のような視点からアプローチしていきます。

① 自律神経の緊張をゆるめる

ストレスや疲労が続くと、交感神経が優位になり、血管は収縮し、筋肉は硬直します。
特に骨盤周辺の筋緊張は、血流の悪化と痛みの増悪に直結します。
鍼灸は、首や背中、仙骨などにアプローチし、交感神経の緊張を緩和することで血流と内臓機能のバランスを整えます。


② 骨盤内の血流改善と炎症鎮静

子宮内膜症は慢性的な炎症反応を引き起こします。
この炎症を和らげるには、骨盤内のうっ血や冷えへの対処が必要です。

鍼灸では、ふくらはぎ・鼠径部・腹部への施術を通じて、卵巣動脈や骨盤神経叢の血流改善を図ります。
また、迷走神経を介した抗炎症作用も注目されつつあります。


③ ホルモンバランスと感情面へのサポート

女性ホルモンの分泌は、ストレスや睡眠の質、感情の起伏に大きく影響されます。
「ホルモンバランスを整える」というと抽象的ですが、鍼灸は体全体の恒常性(ホメオスタシス)を整えるという意味で、その一助となるのです。

また、鍼灸の時間は「自分と身体を静かに見つめ直す時間」にもなります。
これは、**感情の整理・再定義という“治療ではない治療”**でもあります。


■ 実際の研究より

近年の研究では、子宮内膜症による月経痛・骨盤痛・性交痛に対し、鍼灸が有効であるという報告が複数あります。

たとえば2024年のレビュー研究では、以下のような結果が得られました:

  • 鍼灸群は偽鍼群よりも有意に痛みスコアが低下
  • 耳鍼、温針灸、電気鍼が特に有効とされる
  • CA-125(炎症マーカー)も一部で改善傾向

エビデンスレベルはまだ発展途上ですが、副作用の少なさ多面的なアプローチの柔軟性は、鍼灸の強みです。


■ “当たり前”を、見直すということ

「私の月経痛はこれくらいで普通」
「毎月のことだから仕方ない」
「忙しいし、病院に行くほどでは…」

その“慣れ”の奥には、本当は楽になれる可能性があるかもしれません。
あなたのその痛みは、“我慢すべきもの”ではなく、“向き合う価値のあるサイン”かもしれないのです。

鍼灸は、そんなあなたと**あなたの身体をつなぐ“静かな入り口”**になれると思っています。


■ 最後に

症状が軽い時期もあれば、突然重くなることもある。
身体の変化は予測できません。だからこそ、**「なんとなく変だな」**と思ったときが、
“見て見ぬふり”ではなく、“自分の身体に向き合う”タイミングかもしれません。

鍼灸は、身体に備わった回復力と再調整の力に、そっと火を灯すような方法です。
必要なときに、必要なだけ頼ってください。

──あなたの「当たり前」が、少しでも軽やかになりますように。

鍼灸院ひなた
山元大樹

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